福岡県プロフェッショナル人材センター

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株式会社うなぎの寝床

地域に必要だと思うことを地道に続け、地域経済を回していく。

まずは、白水さんが会社を設立されるまでの経緯を教えてください。

 僕は1985年に佐賀県で生まれて、大分大学工学部で建築や都市計画を学びました。卒業後は、厚生労働省の「九州ちくご元気計画」のスタッフとして、筑後地域のものづくりを主にデザイン面からサポート。3年間の任期中、70ほどの案件を手がけ、多くのつくり手さんとご縁ができました。

 活動する中で、東京や福岡には筑後のものを買える店があるのに、地元には地域のものをまとめて見られるところがないと気付いたんです。それで2012年7月、元気計画のスタッフをしていた春口丞悟と共に『うなぎの寝床』を設立し、八女市にアンテナショップを作りました。

御社のコンセプトや事業内容を教えてください。

 僕らは「九州ちくごのものづくりを伝える」ためにアンテナショップをオープンしました。つくり手さんや誰かに頼まれたわけではなく、地域にその機能が欠けている、あったらいいなと考えたからです。

 最初は、そんな場所を作れば、みんながハッピーになると思っていました。自分たちの趣味志向を反映して、ごく近くの地域の3,000円より高いものをメインに集めました。すると、みんな「いいね」と言ってくれるけれど、なかなか売上に結びつかない。

 つくり手の方々は商売でやっているので、売上が上がらないと価値が生まれないわけです。ですから、エリアを店から車で1時間ほどで行ける範囲に広げ、地域の文化を体現するような織物や木工品、陶器などの生活用品を仕入れて、価格も手ごろなものからバランスよくそろえました。そして、少しずつ売れるようになっていきました。

つくり手の皆さんの反応はいかがでしたか?

 うちは、最初からものを買取にしました。もし中途半端な委託なら嫌がられたかもしれないけれど、よく分からない若者が「買取でやらせてください」と来たことに真剣さを感じて、協力してくださったのかなと思います。

 ただし、僕らはつくり手さんに喜んでもらうためにやっているわけではありません。それをモチベーションにするとやめられなくなるし、依存関係になって発展しない気がするので。僕らはあくまでも自分たちが必要だと思うことを、やりたいからやっているというスタンスなのです。

立ち上げから5年半、今は各方面から注目を集め、取材や講演も多いですね。

 ありがとうございます。当初30ほどだった取引先は、今70を超えました。主力は久留米絣のもんぺで、地域にメーカーの機能が足りなかったので、うちで生地を買い取ってメーカーの役割を担い、卸もやり、イベントに出店して…と、積み上げ式で業務が増えてきました。物流からコンサルティング、EC構築、通訳・翻訳、動画やサイト制作など多岐にわたります。

 スタッフは15人になりました。アパレル出身者、海外で社会人類学を学んだ人、中南米をさまよっていた人、工業系やデザイン系の人、新卒者まで、バラエティ豊かな人が集まっています。

新しい拠点も開設されましたね。

 そうですね。2017年10月には、アンテナショップのすぐ近くに『旧寺崎邸』をオープンしました。ここは、海外を含めて九州以外の地域の素晴らしいものや活動などを紹介し、地域の人たちが新しい発想を得るための学びの場と位置付けています。コーヒーショップもあり、シェアオフィスとしての機能も検討中です。さらに12月には東京に『東京新川分室』を開設。こちらはうなぎの寝床の分室、商品のショールームとしての役割を持たせています。

 地域に必要だけど、地域ではやれないようなことを補完するような存在を目指し、僕らは自分たちを「地域文化商社」と称しています。地域文化をどうすれば担保できるか考え続け、経済を回していくことが大切だと考えています。

この地域で働く意義をお聞かせください。

 この地域にはものづくりが根差しているからこそ、僕らはつくり手さんと近い関係で、地域の人たちと関わりながら実践的にチャレンジすることができます。 また、一般的な都市部と地方の違いとして、都市部の大きな組織で働く人は、個人の能力が高くても、その人あたりの価値は問われにくい。一方、地方は人口が少ないため、一人ひとりの社会的な価値が高い。能力のある人が一人でも入ってくると、ガラッと物事が変わることも多いのです。それが地方で働く意義だと思います。

御社はどのような方を採用されているのでしょうか。

 うちのことをどこかで知って興味を持ってくれた人や、インターンをしたいと来てくれて社員になった人など、いろいろなご縁で採用して人が増えてきました。そこで今、組織の形態について考えているところです。

 そもそも地域は人が少ないため、それぞれが100%以上の力を発揮しないと回っていかないのが現状。一般的な◯◯部の部長・部員というような管理する側・される側ではなく、大学のラボのようなイメージで、例えば「地域文化経済実践研究所」として、一人ひとりが業務を行いながら、自発的に改善点や今後の在り方を考え、専門性を高めていけるような在り方がいいのではないかと考えています。そして、ここで専門性を高めて、将来は独立する人が出てくると面白いなと思います。

将来のビジョンについてお聞かせください。

 やりたいことは設立当初からぶれず、これからも地域文化を担保するために経済を考えていきます。

 これまでは地道に地域の人たちと関係性を作り、お店や流通の仕組みを構築してきましたが、これからは一度ベースを作って蓄積していくプラットフォーム作りにも力を入れたいと思っています。具体的には、ECやホームページで認知を広げることが重要なフェーズと捉え、それを形にできるIT系の技術者やディレクター系の人材が必要だと感じています。そうすることで物流の総量を増やし、文化と経済をうまく回していきたい。そのような人材は僕らだけでなく、地域全体に全く足りていないと思います。

 IT系の仕事は都市部に集中していて、地方の人も都市部の仕事を受注しているケースが多いようです。僕らはIT系の一部を東京在住の人に委託していますが、ITやクリエイティブ系なら副業もやりやすいかもしれません。都市でも地方でも、内部と外部の線引きが今後はだんだん緩やかになり、都市部の人が地方で活躍できるチャンスが広がりそうですね。

 

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